膵臓のラングルハンス島の役目
ラングルハンス島とはどんな島なのか? ラングルハンス氏とはいかなる人物なのか?
- 膵臓に散在する細胞集団が、ラングルハンス島。
- フングルハンス島は、膵臓に100万個ほど存在する。
- ラングルハンス島のB細胞が、インスリンを合成し放出する。
- インスリンとは、英語のインシュラと同じ語源に由来する。
- 膵島炎になりB細胞が破壊されると、インスリン依存型糖尿病になる。
ラングルハンス氏、ラングルハンス島を発見
膵臓は、胃の後ろにある長さ15センチほどの臓器で、膵液という消化液を十二指腸に分泌しています。膵臓の英語「パンクレアス」は「すべて肉」という意味です。これは、膵臓全体がやわらかい肉のかたまりのようであるところからきています。膵臓は、十二指腸にくっついた鯉のぼりのような形を
しています。
膵臓の中に、ある特殊な細胞の集まりが散在していることを発兄したのは、ドイツのラングルハンスという医学生です。1867年の夏、ラングルハンスは当時20歳でした。どうも、糖尿病と膵臓の歴史には、若い学生が関係するようです。
「これらの細胞の機能に関しては説明できない」と、ラングルハンスは述べています。そして、「膵臓という臓器は、これまで考えられているより、はるかに複雑で重要な臓器であろう」と示唆しています。
ラングルハンスの発見から20年後、フランスのラゲッスは、この細胞集団がホルモンを分泌していると考え、これをラングルハンス島と命名しました。
ラングルハンス島は、ラングルハンス氏島とか膵島と呼ばれることもあります。
ラングルハンス島は細胞の集まり
さてこのラングルハンス島という細胞集団、ほぼ球形で直径は100~50ミクロン、100万個ほどが膵臓全体に散在します。500ミクロンというと0.5ミリ、肉眼でやっと見えるくらいの大きさです。島といっても、大きな島がひとつぽつんとあるのではなく、ギリシャの多島海のような状態を思い浮かべるとよいでしょう。
ラングルハンス島を全部集めると、重さは膵臓の100分の1、丸めると直径1.5センチほどの球になります。 インスリンはこのラングルハンス島から分泌されます。インスリンは英語のインシュラ(insula)「島」と同じ語源です。
ラングルハンス島のB細胞がインスリンを放出
ラングルハンス島は細胞の集まりですが、この中のB細胞と呼ばれる細胞がインスリンを合成して蓄え、必要に応じて血液中に放出しています。
これに対し、同じラングルハンス島のA細胞は、血糖を上げるグルカゴンを分泌します。
インスリンは、アミノ酸が集まってできたタンパク質です。インスリンはB細胞で合成され、結晶のような形で蓄えられているのですが、膵臓全体では常に、およそ5口から1週間分のインスリンが貯蔵されています。
糖尿病の治療に使うインスリンは、かつては膵や牛の膵臓から抽出していましたが、いまでは大腸菌を使って、人間と同じインスリンを合成していま
す。
B細胞のみを破壊する病気「膵島炎」
インスリンを合成して分泌するB細胞は、ラングルハンス島の80%を占めています。
インスリン依存型糖尿病の患者では、このB細胞が失われています。ラングルハンス島の中に、リンパ球が侵入して、B細胞を破壊してしまったのです。これが、膵島炎です。
膵島炎自体は以前から知られていたのですが、発症のしくみがわかってきたのは、最近のことです。膵島炎とは、Tリンパ球(特に細胞破壊力の強いリンパ球)による、自己免疫疾患ではないかと、推測されています。
リンパ球はもともとは、外部から侵入してきた異物を破壊する免疫反応を受け持っています。免疫反応は体を守る上で、なくてはならない働きです。
本来ならば、外敵を攻撃するリンパ球が、何らかの異常で自分の体の組織を攻撃して破壊してしまうのが、自己免疫疾患です。膵島炎では、Tリンパ球はラングルハンス島の中のB細胞のみを選択的に破壊します。
膵臓のラングルハンス島の役目

